【2026年最新版】飲食店の正しい「たばこルール」&「分煙対策」とは?
2020年4月に改正健康増進法が全面施行され、飲食店の喫煙ルールが厳格化されました。施行から6年が経過しましたが、あなたのお店ではルールを守った店舗運営ができていますか?今回は、飲食店やナイト業態の現在のたばこのルールや具体的な対応方法を調査しました。今一度法律の内容をおさらいし、多様なお客様が心地よく過ごせる分煙対策の方法を考えていきましょう。
※本稿の内容は、現時点で公表されている法令および関連資料に基づき整理したものです。なお、厚生労働省で行われている受動喫煙防止対策に関する委員会では現在も議論が進められており、今後の検討状況によって制度運用の詳細が変更される可能性があることをご承知おきください。
改正健康増進法のポイント
2020年4月の改正健康増進法の施行により原則屋内は禁煙とされています。法律施行によりルールが厳格化され、違反者には罰則が生じるケースもあるため注意が必要です。
施設区分ごとに喫煙ルールが異なる
改正健康増進法は施設区分ごとにルールが異なっています。通常飲食店は「第二種施設」に分類されますが、喫煙を主目的とするバー・スナック等は「喫煙目的施設」に分類され、施設区分によってルールの内容が変わります。
<施設区分別_喫煙ルール>
「飲食店(第二種施設)」の喫煙ルール
飲食店は主に第二種施設(図①)に分類され、屋内は原則禁煙、喫煙専用室・加熱式たばこ専用喫煙室の設置のみ認められています。
ただし、屋内禁煙・分煙の義務対象外となる飲食店もあります。
1.2020年3月31日時点ですでに営業を開始している
2.資本金が5,000万円以下
3.客席面積が100平米以下の店
上記1~3を満たす店舗は「既存特定飲食提供施設」として、店内の全て(もしくは一部)を喫煙可能にすることができます。この場合も、健康増進法の趣旨である望まない受動喫煙の防止を踏まえ、利用者への配慮や標識の掲示等は必要です。※自治体の上乗せ条例により、上記を満たしても喫煙不可のケースあり
一方、2020年4月以降にオープンした店舗や、資本金・客席面積の規模が上記を超える店舗については、何かしらの禁煙・分煙対策が必要になるため注意が必要です。
「喫煙目的施設」の喫煙ルール
飲食等を提供する施設の中でも、喫煙を主たる目的とするバーやスナック等は「喫煙目的施設」として、喫煙目的室を設置することが可能です。
喫煙目的施設の要件は以下3点です。
1.施設の屋内の場所において喫煙場所を提供することを主たる目的としていること
2.たばこの対面販売(出張販売を含む)をしていること
3.設備を設けて客に飲食をさせる営業(「通常主食と認められる食事」を主として提供するものを除く)を行うものであること
喫煙目的室では、喫煙に加えて飲食等を提供することも可能です。
「飲食店」と「喫煙目的施設」共通のたばこルール
以下2点は、飲食店(第二種施設)であっても喫煙目的施設であっても守らなくてはいけない共通のたばこルールです。
1.喫煙室への20歳未満の入室は不可
20歳未満の人の喫煙室(加熱式たばこ専用喫煙室を含む)への入室は禁止です。これは来店客のみならず従業員も対象となるので、20歳未満の従業員がいる店ではルールの周知が必要です。
2.喫煙ルールを示す標識の掲示が必須
店内に喫煙可能な場所がある場合は、必ず「店の入口」と「喫煙室の入口」の2カ所へその旨を示す標識を掲示する必要があります。店の入口の標識には、「店舗内に喫煙できる場所があること」を記載し、喫煙室の入口には「喫煙可能な場所であること」「20歳未満は立入禁止であること」を明記する必要があります。標識は厚生労働省のサイトからデータのダウンロードが可能ですし、正確に内容が伝わる物であればオリジナルデザインの標識を掲示しても構いません。
<主な標識のサンプル>
出典:厚生労働省HP「標識の一覧(ダウンロード可能・イラスト等挿入不可)|なくそう!望まない受動喫煙。」
基本的な分煙パターン
「飲食店(第二種施設)」の基本的な分煙パターン
上述の通り、営業を開始したタイミングや事業規模によって「屋内禁煙・分煙の義務対象か否か」が変わりますので、まずは自店が禁煙・分煙の義務対象かどうか、以下のチャートで確認しましょう。
<施設区分別_喫煙ルール>
上記チャートで「対象外」となった場合は、標識を掲示すること・20歳未満の入室は不可であること等のルールを守れば、店内全てを喫煙可能にすることができます。
一方、上記チャートで「対象」となった場合は、禁煙・分煙化をする必要があります。その際の選択肢は、大きく分けて以下の1~4のパターンのいずれかになります。
1.屋内の全面禁煙
・店舗全体を禁煙化する
・20歳未満の人の立ち入りが可能
2.紙巻きたばこ・加熱式たばこのどちらも喫煙できる専用室を設ける分煙
・紙巻きたばこ・加熱式たばこ どちらも利用できる喫煙室を設置する
・喫煙室内は20歳未満の入室は不可で、飲食も不可
3.加熱式たばこ専用喫煙室を設ける分煙
・加熱式たばこ専用の喫煙室を設置する
・喫煙室内への20歳未満の入室は不可だが、飲食は可能
4.喫煙専用室(2)と加熱式たばこ専用喫煙室(3)を併設する分煙
・2の喫煙専用室と3加熱式たばこ専用の喫煙室を両方設置する
・どちらも20歳未満の入室は不可で、3のみ飲食可能
ここで言及しておきたいポイントが2点あります。それは、
- 全てのパターンにおいて禁煙エリアの確保は必須のため、店内全てを喫煙可能とすることはできない
- 「喫煙専用室」と「加熱式たばこ専用喫煙室」とで飲食可否が異なる
ということです。
つまり法律上、分煙・禁煙の義務対象になっている店舗は、店舗意向や客層に関わらず、店内全てを喫煙可能とすることはできません。※「既存特定飲食店」の場合は全席喫煙も可能。また、紙巻きたばこが吸える「喫煙専用室」の中は飲食不可ですが、「加熱式たばこ専用喫煙室」の場合は、制度上、喫煙しながら飲食が可能とされています。
一方、紙巻きたばこを使用している方もまだまだ多いのが現状ですので、店舗の運営形態や利用者の状況に応じて、自店に適した分煙パターンを選ぶ必要があります。加えて、どちらの喫煙室を設置する場合においても、望まない受動喫煙防止の観点や利用者の安全性を踏まえた適切な運用が求められます。
なお、飲食店において分煙が義務付けられているのは屋内のみですので、人の動線等に配慮したうえで敷地内の屋外(店頭灰皿やテラス等)へ喫煙スペースを設けることは可能です。
<飲食店における条件別喫煙ルールまとめ>
「喫煙目的施設」の基本的な禁煙・分煙パターン
喫煙目的施設の場合、以下2パターンのいずれかになります。
1.店舗全体を喫煙目的室とする
・店内全てを喫煙目的室として喫煙可能エリアする
・店内全てが喫煙可能なため、20歳未満の入店は不可
2.店舗の一部を喫煙目的室とする
・店舗の一部を区画して喫煙目的室とし、その他のエリアを禁煙エリアとする
・この場合、禁煙エリアへは20歳未満の入店は可能だが、喫煙目的室内への20歳未満の入室は不可
喫煙専用室・喫煙目的室を設置する際の技術的基準について
喫煙室を設置する際は、たばこの煙が喫煙室の外に漏れないような措置が必要で、以下のような3つの技術的基準を満たしている必要があります。
1.室外から室内に向かって風速0.2m/秒以上で空気が入り続けている
2.壁・天井などによって区画され、完全にほかの空間と仕切られている
3.屋外または外部の場所に煙を排気する機能を持っている
すでに喫煙室があるお店は、上記の基準を満たしているか確認が必要です。技術的基準の確認には専門的な知識が必要になりますので、お困りの際は専門家にご相談いただくのも1つの方法です。
<参考>技術的基準を満たせない場合の経過措置について
2020年3月以前に竣工した施設において、どうしても上記の技術的基準を満たす喫煙室を設置することができない場合は、たばこの煙を十分に浄化し室外に廃棄するための必要な措置が講じられた「脱煙機能付き喫煙ブース」を喫煙室の代わりに設置することが認められています。
「たばこの煙を十分に浄化し室外に排気するための必要な措置」の基準は以下2点になりますが、基準を満たしているかどうかは喫煙ブースを取り扱っている各メーカーにお問い合わせいただくのが確実です。
1.総揮発性有機化合物の除去率が95%以上
2.室外に排気される浮遊粉じん濃度が0.015mg/m3以下
自治体による上乗せ条例について
ここまで改正健康増進法のポイントについて解説してきましたが、改正健康増進法以外にも、各自治体が受動喫煙防止のための条例を定めているケースも少なくありません。エリアによっては改正健康増進法の内容より厳しい条件が定められている場合もありますので、ご自身のお店に影響のある条例が無いか確認してみてください。
※本リストは、現時点で把握している情報のみを記載しており、網羅的な調査には基づいておりません。詳細はご自身の店舗がある自治体のHPをご確認ください。
あなたのお店は大丈夫?「喫煙ルールチェッカー」でまずはチェック!
適切な喫煙環境整備のためには、まずは自店の施設区分や正しい喫煙ルールを把握することが必要です。それにあたって以下のようなルールチェックのサイトもありますので、あなたのお店は大丈夫か、ツールも活用しながら調べてみてください。
補助金・各種サポートについて
厚生労働省や各自治体で、受動喫煙防止のための助成制度を用意している場合があります。申請の手続きや詳細についてはHPに記載がありますので、喫煙室の設置・改善を検討されている事業者様は一度ご確認ください。
<参考>厚生労働省_受動喫煙防止対策助成金
中小企業事業主について
<参考>東京都_飲食事業者向け経営基盤強化支援(受動喫煙防止対策支援コース)
上記以外にも、各自治体が独自に喫煙環境整備の助成金を作っている場合がありますので、詳しくは自治体HP等でご確認ください。
※本リストは、現時点で把握している情報のみを記載しており、網羅的な調査には基づいておりません。また、上記に記載している助成制度についても募集状況や内容が変わる可能性がございますので、詳細は自治体HPをご確認ください。
今回は飲食店向けのたばこルール&分煙対策について解説いたしました。喫煙環境は集客やお客様の満足度に大きく影響するので、ルールを守り、様々なお客様が快適に過ごせる店舗作りをしていきましょう。
出典:受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)|厚生労働省
出典:経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業<飲食事業者向け経営基盤強化支援(受動喫煙防止対策支援コース)> | 東京都中小企業振興公社
書いた人:山田
大学4年間をカラオケボックスのアルバイトに打ち込み、2016年にカラオケメーカーに入社。業務用カラオケの拡販や店舗サポートに携わり、カラオケ大会などのイベント企画も行う。